大阪-東京-巴里: 2010年2月-7月

2010年の前半は個人的に色々と変化があった。この年の3月に博士号の学位を取るのだが、2010年2月の段階では博士号取得後の職(いわゆるポスドク)が決まっていなかった。09年末と10年始めに職の公募へ何通か応募に出していて、これが全て落ちたら生業としている研究職を廃業しようと考えていた。実際、3月始めの段階で周りには研究職を辞めることを伝え、何か他の方法で食っていく道を探していた。といっても他の職のあてがあるわけでもなく、とりあえず今ある状況から逃避したい、という気持ちが当時は強かったのである。不思議なもので、数学の研究を辞めようと心の切り替えが終わった時に、落ちたものだと思い込んでいた台湾大学からのポスドクの職のオファーが来た。そして色々と悩んだ挙句に台湾に行くことに決めた。

東京で職を探すつもりでいたので、台湾大学からオファーが来た時にはもうすでに東京の引越し先も決め、引越しの段取りも進めていた。台湾の職は8月からで、6~7月にパリ大学に滞在することにもなったので、中途半端に空いた4月~5月の2ヶ月を東京で過ごすことになった。この2ヶ月は無職で東京でブラブラしていた。この時期は東中野に住んでいて、友達との共同アトリエで絵を描いたりしていた。東京での生活は金がかかるが、毎日色んな人に会えるし、刺激的な場所は近くにたくさんあるし、本当に楽しかった。東京は今でも世界で一番好きな場所だ。貯金していた100万円はあっさり2ヶ月で底をついた。日本を発つ前になんとなく髪を丸坊主にしてみた。

6月からパリに2ヶ月滞在した。といっても前半の1ヶ月はイタリアのトリエステに行ってたので、実際は7月の一ヶ月をそこで過ごした。この時期は日が長いし涼しいし最高の季節だった。空いてる時間はかなり観光したが、この街の巨大な歴史の層のごく一部を見たに過ぎない。休日にはロンドン、ベルリン、アムステルダムにも初めて行った。一応、美術に関わるような仕事をやっているのに、27歳にして初めて大英博物館とTateに行ったことを、恥ずかしながら告白しておく。偶然、美術家の勝くんも同時期にパリに旅行で来ていて、一緒にロンドンに行った。8月から台北に移り、そこでようやく落ち着いた。